戦前の精工舎10型、防塵、防湿二重ケース 上記の精工舎、旧10型、二重ケースは「軍用品」として生産されたモデルのようですが、 当時の精工舎(現セイコー)は時計販売のみでしたから、オーバーホールや修理などの メンテナンスは全国の時計店へ純正部品(二重ケース、文字盤、他)を供給することで対応 してました。 その様な時代でしたから、腕時計に対するオリジナル的な考えも無く使用出来る部品なら、 メーカーが違っても交換していたようです。 又、オリジナルに対するこだわりも無く、8型、9型、10型の二重ケースは所有者の好みで 入れ替えていましたので、完全なオリジナルの組み合わせはどれなのか?分からないのが 現状です。 文字盤のインデックスがオールアラビア数字(アップライト)、クロノメーター表記に なっているお洒落なデザインです。 当時、国産ムーブメントにはクロノメーター検定協会による検定に合格して無く、 天文台で精度検定を受けてませんので、全く意味のない表記(当時のセイコーが 高精度と思わせる為の戦略表示)になります。 外観の防塵ケースは、1926年から製造が開始された、「モリス型」と「ネーション型」 のムーブメントが搭載されています。 ※モリス型とはモリス社(スイス製)のムーブメンを参考(コピー)にして製造されこと からそのように呼ばれてます。 二重ケースの風防にはセイコーのSマーク(赤丸部)があります。 又、白丸部と矢印の部分がハマり込む形状になっており、防塵性をかなり意識しているよう に感じます。(他の二重ケースではみたことが無いです) 現在、市場で多く出回っているムーブメントの9割はネーション型、7石が搭載されている のですが、今回の二重ケースにはモリス型、ルビー10石が搭載されてますので、現存数は 少ないです。 又、真鍮にニッケルクロームメッキ側の裏蓋にはSKSとFINE NICKEIの刻印がある ことから判断して初期のモリス型になります。 今回はここまでの紹介になりますが、戦前にもこの様なモデルが存在していた事を一人でも 多くの方に知って戴きたいと思ってます。 【参考資料】 精工舎の初期型二重ケースはSEIKOのロゴ以外にもペットネームで「NATION」や「VENUS」の旧9型、10型(7石)は、一般普及品として大量に生産されましたので市場にも多く出回 ってましたが、既に70年以上も経過した現在では、デットストック品(二重ケース)は少なく なってます。 最後までお付き合いありがとうございましたm(_ _"m) ランキングへ参加してます。 |
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